過去の落札額を入札の目安にするとき——同じ型式の救急車38台で分かった「倍率より先に見る数字」
官公庁オークションで車や備品に入札しようとするとき、多くの人は「過去に似た物件がいくらで売れたか」を手がかりにします。当サイトにも、品目別・型式別に過去の落札額を並べたページがあります。
ただ、過去の数字は読み方を間違えると、かえって判断を狂わせます。特に誤解されやすいのが「最低価格の何倍で売れたか」という 倍率 です。この記事では、当サイトで最も記録の多い型式を例に、過去の落札額をどう読めばよいかをまとめます。
同じ型式38台の、最低価格と決着額
当サイトがこれまで記録した結果の中で、同じ型式の車両として最も件数が多いのは、救急車に使われる型式 CBF-TRH226S の38件です(型式ページ)。38件のうち37件が救急車、1件が消防車の区分で出品されていました。
この38件を、最低価格(見積価額)と、実際に決着した金額で比べると、次のようになりました。
- 最低価格:1万円から140万円まで。中央値は25万1,050円
- 決着額:76万5,000円から256万8,000円まで。中央値は143万9,440円、半数は116万3,000円〜167万8,000円の間
- 倍率(決着額÷最低価格):1.01倍から150.1倍まで。中央値は6.0倍
最低価格は140倍もの幅があるのに、決着額は3.4倍の幅に収まっています。同じ型式の車は、最低価格がいくらに置かれていても、だいたい同じ水準で決着している ということです。
最低価格が低くても、安く買えたわけではない
最低価格の高低で分けると、違いはもっとはっきりします。
- 最低価格が20万円以下だった17件:入札件数の中央値は10件、決着額の中央値は142万円
- 最低価格が70万円以上だった9件:入札件数の中央値は5件、決着額の中央値は142万8,880円
最低価格が低い物件には入札が多く集まり、競り上がって、結局は同じくらいの金額に落ち着いています。倍率で見ると前者は「何倍にも競り上がった」、後者は「ほぼ最低価格で売れた」と、まるで違う結果に見えますが、払った金額はほとんど変わりません。
つまり 倍率は、物件の人気よりも、最低価格がどこに置かれたかを強く映す 数字です。最低価格を決めるのは出品する行政機関で、なぜ1万円から140万円まで開くのかは、公表された情報からは分かりません。当サイトの 倍率ランキング も、この性質を前提に読んでください。
過去の落札額を目安にする手順
入札額を考えるときは、次の順番で見ることをおすすめします。
- 倍率ではなく金額を見る。 品目ページ(例:救急車 55件)や型式ページで、決着額の中央値と「半数が収まる幅」を確かめます。
- 年式と走行距離の近いものに絞る。 同じ38台でも、2010年式以前の9台は中央値111万1,100円、2016年式以降の13台は168万8,880円でした。年式だけでこれだけ違います。
- 「確定」か「観測」かを見る。 入札形式の金額は公表された落札額(確定)、せり売形式の金額は終了時の最高入札額を当サイトが観測したもの(観測)です。38台のうち36台が入札形式でした。
- 件数が少なければ、上の階層を見る。 型式で3〜4件しかないときは、品目全体の幅のほうが当てになります。
- 最後に、自分の上限額を先に決めておく。 過去の決着額は、次の物件がいくらになるかの予想ではありません。同じ型式でも状態・装備・引き取りの条件は1台ずつ違います。
当サイト全体ではどうか
型式をまたいでも傾向は似ています。最低価格1,000円以上の結果2,567件では倍率の中央値が1.8倍ですが、品目ごとに見ると最低価格の幅のほうが決着額の幅より広い品目があります。救急車55件では、最低価格の「半数が収まる幅」の上下の比は約4.1倍、決着額では約2.1倍でした。
この数字の限界
- 38件は2026年6月21日から10月25日までの観測分で、年式・装備・地域が1台ずつ違います。一般化しすぎないでください。
- 年式・走行距離は、出品した行政機関の記載をそのまま使っています。
- 入札件数は、当サイトが観測した時点の表示です。
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